PLCメンテナンス活用方法について

FA応用

(キーエンス SDカードでのメンテナンス運用について)

産業用FA装置制御PLCのメンテナンスでは、専用ツールがないとできない・・ログがのこらないから解析できない、そもそも人が作ったプログラムの可読性が悪くて解読できないなどのことから、設計した会社に依頼して、PLCエンジニアが現地でプログラム修正をするケースが多くみられます。

問題点

仕様の問題

FA機器はPLCを使った制御をすることが多く、特殊な仕様で設計されることがおおい。しかしながら、短い納期、適当な仕様書、メカ設計の不具合、客先の理不尽かつ適当な検収により、不完全な状態で納品され問題が発生することがある。

人的な問題

FA設計は、特殊な装置が多く、特に制御設計に携わる人間は、電気、ソフトの基礎知識に加えて最近ではネットワークや安全に関することにも知識が必要となってきている。また、メカ構造や生産工程、製造にかかわることも理解も必要で、かつ最近のFA機器の取り扱いも都度習熟することが求められる。

その割に、外部からの評価(金銭的、社内での待遇)はそれほどでない。さらに、先輩、上司、客先からの理不尽な要求と装置納品となるとすべての権限を委譲されて、営業、メカ設計、製造調整の役割まで担うことが多いので、メンタルやられてしまうケースも多く、圧倒的に人手不足となっている。

前述のとおり、多岐にわたるスキルと理解力が求められるので、簡単に育成できないことも人的問題となっている

PLCメンテナンス方法について

メンテナンス方法とは、PLCというよりは装置になにかあった場合、制御プログラムをどうやって保守していくのかが課題となります。

プログラムのブート運転

三菱のPLCでは、カードにプログラムをいれてカードからブートして、プログラムを更新するという検討をしてきましたが、現地のトラブルでなにが起こったのかがわからなくては、プログラムを修正することもできない。

遠隔メンテナンス

外部からVPNを使ったり、リモートPCを使った手法は非常に有効的ですが、VPNが設置できない、リモートPCを設置し、ネット環境に置き外部からアクセス許可をとれない等問題が残る残る

運転記録機能

カメラ搭載のユニットをつけることで、運転監視をカメラとPLCの運転記録で残す機能で、非常に効果的である。ただし、設計の段階でカメラユニットが必須となり、コストアップになります。トラブルの原因特定には非常によいが、カメラの設置位置や台数も考慮が必要

キーエンスのSDカードの取り扱いについて

使用できるメモリカード

メモリカードと、メモリカードを読み出すアダプタやカードリーダが必要になります。メモリカード

は、SDHCメモリカード、SDメモリカードに対応しています。

メモリカードの装着、取り出し

※KV8000シリーズ ユーザーズマニュアル参照

メモリカードの活用例

メンテナンスでの活用方法について

メンテナンス活用では

  • SDカードへのPLCプログラムの保存
  • SDカードからプログラムの読出
  • 解析について
  • SDカードへのプログラム保存
  • プログラムロード

の流れになります。

SDカードへのPLCプログラムの保存

SDカードへの保存をします。

タッチパネル等に保存用のボタンをつける、またはトラブルのトリガで保存するようにプログラムを追加します。

参考FunctionBlock 

SDカードからプログラムの読出

ファイル>メモリカード>読出を選択してフォルダ選択します。

この時、メモリカード上にない場合はフォルダ階層が深いと検索できないのでメモリまたは階層の浅いフォルダにバックアップデータを展開します。

また、バックアップデータ内にKVSAVE01・・となっているので、フォルダ名称もこれに合わせるように変更しておきます。

解析について

プログラムだけではなにが起こったのかわかりません。シミュレータを起動して確認します。

デバイスの値を読み込みします。

モニタ/シミュレータ>デバイス値一括変更/読出>ファイル>メモリカードを選択します。

読み込みできました。ツールでバックアップデータを読み込みより早いです。

シミュレータを起動します。

事前に準備したログを表示する回路とタッチパネル画面で動作の記録を確認することができます。

※事前にPLCでログ用のプログラムを作成する必要があります。

※運転記録データもSDカード保存できるので運転記録をリプレイで解析することもありです。(KV-8000の場合)

SDカードへのプログラム保存

プログラムを修正したら、SDカードに保存します。

ファイル>メモリカード>保存を選択します。

電源投入時にロードするを選択して、SDカードに保存します。

このSDカードを現場におくるまたは、ファイルとしてメール等データでおくってSDカードに保存してもらいます。

プログラムロード

保存したSDカードをCPUに挿入して電源再投入します。

作業が終わったら、SDカードを取り出し、元に戻します。

まとめ

PLCメンテナンスの課題では、いろいろと問題がありますが、一つの手段としてSDカードの活用をすることで、PLCエンジニアの負担軽減、トラブルの早期解決することが可能かと思われます。

今回の紹介でもっとも有効な点は、PLCなんてわかりませんという方でもSDカードを取り出して、データをおくる・・修正したデータを受け取りSDカードに保存して装着し電源再投入することで対応できることでしょう。

補足

キーエンスのタッチパネルをイーサネット経由で接続する場合、全面のUSBでタッチパネルプログラムのほか、PLCに保存されたデータも保存する機能があります。これを使えばタッチパネルプログラムも修正できるし、トラブル時にわざわざSDカードを取り出ししなくてもよいです。

PLCの機能ではFTP転送機能もあります。FTPサーバーをネットワーク上に設けることでSDカードから読み出ししなくてもデータをアップロードできます。(このデータはプログラムまたは運転記録等いろいろアップできます)

ぜひ使ってみてください。

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