KEYENCE VS Melsec 「Ethernet通信設定編」

FA記事

はじめに

IOTだDXだと騒がれていますが、FA設備でもEthernet使う場面が多くなりました。そこで、パケット通信で汎用機器との通信をするのにどのようにしてやるのか、KEYENCEとMELSECで設定方法、確認方法等を踏まえて両者を比較したいと思います。(個人的見解多数あり)

設定方法

今回は、KEYENCE は、PROTOCOL SUTDIOで、MELSECは通信プロトコル支援機能でパケット通信・無手順・ヘッダSTX/データ/サムチェック/デリミタETXという方法で設定します。通信はTCPパッシブです。

KEYENCEの場合

PROTOCOL SUTDIOはKV-XLE02というEthernet通信ユニットで使えます。このユニットには2つの物理的ポートがついています。

実はこれが非常に便利な機能で、下位ネットワークで通信した情報を上位通信ユニットへ転送することができます。これは、それぞれが別々のネットワークで使うことを想定して作られているようです。

例:下位ネットワークに簡易PLC通信でMELSEC PLCや他社PLCと通信し、上位PLCまたはサーバーにデータ転送やFTPでファイル転送できるという優れものです。

設定方法ですが、まずはIPアドレスの設定とPROTOCOL SUTDIOを使用するにします。

接続先相手のIPと相手先ポート番号、自局ポート番号を設定します。

それから、実際に通信する内容とデバイスを設定します。

ヘッダやデリミタは制御コードとして設定します。

データ内容は通信仕様に従って設定します。

便利な機能ではサムチェックも設定するだけで演算までしてくれます。バイナリのデータ2-9までのチェックサムで1バイトだけ使います。

プログラムですが、最初にするのは、PROTOCOL SUTDIOを動作可能とします。これで動作許可となるとパッシブでポートを開放待ち状態となります。アクティブ側はこの状態の時にポート開放をおくると接続状態となります。

プログラムは、送信の場合はデータを作成して通信開始をオンするだけでいいのです。

送受信がある場合は、送受信開始となります。

受信だけの場合、送信だけの場合は、その関連するビットをオンします。

また登録モニタで通信に必要なデバイスの一覧と状況がわかります。

KEYENCE 通信モニタ、テスト機能について

実機では、通信モニタ、通信テスト機能が使えます。

通信モニタでは、HEX、ASCII表示で通信している伝文の中身が簡単にみることができ、CSVファイル保存も可能です。この機能はシリアル通信ではどのメーカーでも当たり前にありますが、Ethernet通信ではKEYENCEにあり、MELSECにない機能です。

既知の通信であっても、初めての通信でもこの機能のありなしでデバッグ効率が格段に違ってきます。おすすめの機能です。

通信異常等の場合

通信テストではPINGテストや伝文作成しての送信テストもできます。これにより、プログラム上の問題なのかの判断もすぐにできるので便利な機能のひとつでしょう。

MELSECの場合

QJ71E71-100を使用します。

自局の設定をします。

相手先の設定をします。

Ethernet通信設定をします。通信プロトコル支援機能を使います。

アクティブの場合はポートOPEN、Close処理が必要となります。

受信パッシブの場合は専用命令でポートがOPENとなったら、通信プロトコル専用命令で設定した番号で実行処理するプログラムを実行します。

通信モニタ機能はツール>Ethernet診断から見ることが可能です。

VS評価について

両者通信プロトコル支援機能を使うと格段に処理が簡単となります。しかし、MELSEC(Qシリーズ)ではない機能で必要なものがあります。

1)通信モニタ機能

これがないと通信伝文の中身が簡単に見れないので、デバッグに時間がかかる。はじめてやる通信仕様の場合、通信できているかさえ手探り状態となる。のでKEYENCEに1票です。

2)チェックサム機能

チェックサム演算機能がない。シリアル通信にはあるのに・・のでKEYENCEに1票です。

3)コストについて

CPUの容量を小さくすることでMelsecのほうが安価となるが、トータルで考えるとあまり差異がないので引き分け

合計2対0でKEYENCEに分あり。

便利な使い方

1)Ethernet通信テストではKEYENCEを使うが確認できたら、ソケット通信プログラムをラダーで書けばよい。こうするとMelsecでも十分使えるので、既存設備の改造でもプログラム確認してからの転用が可能となります。

2)高性能中継ハブとしてKEYENCEを使う

既設、新設どのメーカーであろうと簡易通信でPLC間通信、ロギング、FTP通信できるのでデータの集積、伝達装置の一つとしてKEYENCE PLCを使う

このような方法もありかと思います。

おわりに

今回はEthernet通信の設定のしやすいのは、どちらかを紹介しました。主観的、個人的意見ですので、そう思う人がいるんだという感じで読んでいただきたいと思います。少しでも参考になる方がいれば幸いです。

※iQrでは2ポート仕様がありより使いやすくなっています。今度、iQrのほうも確認してみます。

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